• 「ウルァー!もっと速く走れー!!」

    「む、ムチャ言うな!!」

    私たちは、今トキワのポケモンセンターへと走っている真っ最中。

    サト君はピカチュウを抱えて走り、私は普通に走っている。

    サト君が疲れだすと、たまに蹴りを入れて走らせているのだv

    「見えた!トキワシティ!ほら、もうスグだから走れ走れ」

    「…何でそんなに体力あるんだ、。ホントに女か?」


    「何か言った?」


    ギロリとサト君を睨みつけた。

    「いや、何でもないです…」

    「それでよし。…ん?」

    ふと前方を見ると人が立っていた。

    そしてソコを通過―――――しようとしたが引き止められた。

    襟元を、立っていた人、もといジュンサーさんに捉まれたのだ。

    「お待ちなさい。怪しい人は通しません」

    ニコリと微笑んで言うジュンサーさん。

    …怪しい人?

    「怪しくなんてありません!」

    「俺のポケモンをポケモンセンターに連れて行くんだ!」

    口を揃えて言う私とサト君。

    ジュンサーさんは、サト君が抱えていたピカチュウを見て

    「まぁ、酷いケガ…!さ、早く身分証明を見せて!」

    嫌そうな顔をする私とは裏腹に、理解しきれていないサト君がいた。

    「身分証明!?そんなもの…俺、マサラタウンから来たサトシです!」

    「マサラタウンから来たのは、今日で4人目よ」

    「「4人!?」」

    サト君と声がハモった。

    「4人か…シゲルたち、もう来たんだ…」

    下をうつむいて考えるサト君。

    「貴方、普通モンスターボールに入っているハズのポケモンを抱えてちゃ…
  • ポケモン泥棒と間違われても文句言えないわよ?」

    ジュンサーさんの指摘。うーん、ごもっともです。

    後ろを見ると、『WANTED』と書かれたポスター。

    赤い髪と青い髪の、2人組のポケモン泥棒らしい。

    「ん?貴方、そのポケットに入っているのは?」

    ふとポケットに目をやると、少しはみ出したポケモン図鑑。

    「あぁ、これ?これは…」

    サト君が喋りながら取り出すと、すぐさまジュンサーさんが取り上げた。

    「これこそ、動かぬ証拠!!」

    「「はぁ?」」

    そしてジュンサーさんは、大きな身振りをとって、『ポケモン図鑑』と叫んだ。

    「えーと、ポチポチポチっと…」

    ジュンサーさんが操作すると、あるページが開かれ図鑑の音声が流れだした。

    『マサラタウン出身、サトシ。目指せポケモンマスター。この図鑑をサトシ君に授ける。
  • なお、紛失した場合、再発行はされないのでなくさないようにしよう』

    「へぇー…これが証明書になってたのか…。俺、急いでたから…」

    「急いでるのは今もでしょ?さ、そっちの娘、身分証明出して」

    私の方に手を出され、私はスゴク嫌そうな顔をした。

    「え、私も?」

    「当たり前じゃない」

    「わ、私サト君の友達です!」

    サッと、サト君と腕を組み、ニコーっと笑った。

    「ホントだよ!ジュンサーさん!は俺の友達です」

    「ダメです。ちゃんと、身分証明書見せてもらわないと」

    「…絶対?」

    「絶対よ」

    見逃してくれないジュンサーさんに観念して、私は身分証明を出した。

    「あんまり人に見せたくないんだけどな…。コッソリですよ。誰にも言わないでくださいね?」

    「変な娘ねぇ。……!?」

    私の身分証明を見て、ジュンサーさんは目を丸くした。

    当たり前だけどね…。

    「もういいでしょ?私たち、急いでるのですが…」

    「…あ、そうだったわね。私のバイクに乗せてあげる」

    そう言って、車庫のシャッターを開けて、3人でバイクに乗った。

    …ん?今人影が見えたような…。

    そう考えていると、エンジンがかかって、ガスで後ろは見えない。

    「ブッ飛ばすわよー!ターボで!」

    まぁ、いいか。

    つーかターボって…。






    「ゴホッゴホッ…何なのよ、あれはー!許さーーん!!」









    ポケモンセンターが見えてきても、ジュンサーさんは一向にスピードを落とさなかった。

    それどころか、ポケモンセンターの中にバイクごと突っ込みました…。

    「この警察官…大丈夫なの…?」