• 「あっ!そうだ」

    「ん?」

    「ピカチュウっと」

    サト君が何か思いついたみたい。

    でも『ピカチュウっと』って一体…。

    リュックの中からパジャマを取り出し、草むらの影にいたポッポへと忍び寄る。

    「ポ?」

    「あ、どーも」

    サト君とポッポの目があった。

    「うりゃー!」

    「サト君!ポッポ可哀想!」←そーいう問題か?

    言っても無駄だった。

    思いっきり…ポッポにパジャマをかぶせたあとだったんだから。

    「やったーポッポゲット…」

    いきなり、パジャマが膨らんだかと思うと、サト君がふっ飛ばされた。

    「ポッポの得意技…風おこし…」

    ザァー

    「そして砂かけ…」

    サト君は砂まみれでした。

    「ピヒャヒャヒャヒャ」

    やっぱり…いつ聞いてもこの笑い声は怖い。

    「チェーッ…ん?」

    サト君が、ふと自分のリュックの方を見ると…野生コラッタの犯行現場発見(笑

    サト君のリュックを荒らしていました。

    「うわー!俺のリュックー!」

    時すでに遅し。食料が少し盗まれました。

    「………」

    無言になって、パカ、とポケモン図鑑を開いた。

    「コラッタ。ねずみポケモン(以下略)」

    最後の方に、まぬけなトレーナーの荷物をあさるとか言ってた。

    「まぬけって…俺?」

    「ごもっともね」

    「ピカチュ」

    「ウルセェ!」

    だってマヌケだもん♪

    「ちっきしょー!」

    ブン、とサト君が石を投げた。

    その先にいたのは…オニスズメ。

    「ヤバ!!」

    「アンタ誰?」

    「サト君!そんなのん気なこと言ってる場合じゃないよ!オニスズメはね、気性が激しくて人とかを襲ってくるの!」

    「…何ィー!!」

    サト君反応にぶーい。

    「うわっ!やめろっ!」

    サト君の方に飛んでくる。そして、私の方にも。

    「痛ッ!やめてってばー!」

    オニスズメが狙いを変えたかと思うと、ピカチュウの方へと向かっていった。

    「ピッ!?ピカチュッ!!」ピカチュウが木から落ちそう!

    「ヤバッ!行けッフリーザー!」

    自分のフリーザーを出した。

    「冷凍ビーム!」

    水色の光とともに、ビームが出るが中々オニスズメに当たらない。

    忙しく、とても速く飛ぶのだ、オニスズメは。

    「チャアー!!」

    ピカチュウが電気ショックを放った。

    そのオニスズメは倒され、一時は安心した。

    が…オニスズメが仲間を呼んでいたらしい。

    次々と大群のオニスズメがやってきた。

    狙いはピカチュウ。

    さすがに動きの速いオニスズメだけはある。

    ピカチュウに攻撃し始めている。

    「サト君!ピカチュウ助けて逃げて!」

    私が言い終わるころには…もうオニスズメの中へと割って入っていた。

    「ピカチュウ!ピカチュウ!」

    そう叫びながら必死になるサト君。

    やっとの思いでピカチュウをオニスズメの中から奪い取ると走った。

    !お前はどうすんだ!?」

    「大丈夫!心配しないで」

    そう言って、フリーザーの上に飛び乗った。

    「…分かった」

    ゴクリとツバを飲み込むと、サト君はピカチュウを抱えてダッシュした。

    「さーて。こっちはこっちで片付けないと…」

    私は、ニィと笑みを浮かべた。

    「数が多いならコッチのもんなのよ。フリーザー、吹雪!!」

    伝説の鳥ポケモン、フリーザー。

    この氷に勝てるものは…たぶんいない。

    ほとんどのオニスズメは氷付けとなった。

    しかし、次から次へとオニスズメはやってくる。

    「キリないなー!もういっちょ吹雪!」

    吹雪は、威力はとても強大だが当たりにくいという難点もある。

    だから、よけられるオニスズメもいるのだ。













    キラリキラリと光る、フリーザーの羽は美しい。

    その美しさは、ときとして敵を死へと陥れる。

    紅の瞳は、とても冷血な目なのだ。

    伝説と言われるだけはある。















    「大半のオニスズメは片付いたけど…この群れの数は多すぎでしょ」

    フリーザーに指示を出し、私はサト君を追いかけた。