• オーキド研究所を出てからサト君のママの一言が災難だった…。

    オーキド博士とサト君はまた電撃を食らったのだ。

    今日はこれで2回目ね。






    「サト君、ピカチュウ可哀想だよ?」

    「大丈夫!」

    ピカチュウの胴にはロープがくくりつけられ、サト君にズルズルと引っ張られているのだ。

    ピカチュウ、すっごく嫌そうな顔してる…。

    「なぁ…何でお前モンスターボールに入らねぇの?」

    サト君がポケモン図鑑を開きながらピカチュウに訴える。

    ポケモン図鑑から、『ポケモンはモンスターボールに入っているもの』という説明が流れた。

    「な?モンスターボールに…」

    サト君がモンスターボールをピカチュウの前に差し出すと、サト君の手を払いのけた。

    そして、ポケモン図鑑のボタンを押した。


    『ただし、例外というものもあり、モンスターボールの中に入るのを好まないものもいる』


    このピカチュウ賢い!!


    「だって、サト君。ピカチュウはモンスターボールに入りたくない部類なんだよ」

    「そっか、ゴメンなピカチュウ。お前は自由だよ」

    そう言ってサト君は、ピカチュウのロープを外し、自分の手のゴム手袋をとった。

    その瞬間、草むらでガサリと音がした。

    目をやると、そこには一羽のポッポ。


    「わっ!ポッポだ!」

    「うっしゃー!早速ポケモンゲットだ!行けッピカチュウ」

    勢いよくサト君が叫ぶ。

    「…ピ」

    ピカチュウはそっぽを向いた。

    「頼むよ〜!」

    「ピ〜カ」

    プイッと顔を逸らすと、ピカチュウは木へ登った。




    「ったく!もぅいいよ!行けッモンスターボール!」

    「サト君、いきなり投げても…」

    言ったときには遅かった。

    モンスターボールはポッポへと向かっていたのだ。


    カンッ


    いい音とともにポッポはボールを跳ね返した。

    「ピヒヒヒヒヒヒッ」

    ピカチュウがあざ笑うかのように笑った。


    ピカチュウって…こんなふうに笑うんだ…。


    2度3度繰り返したが、やはり失敗。ポッポは逃げていった。

    丁度、ポケモン図鑑から『ポケモンは弱らせて捕まえるもの』という説明が入った。







    ナイス図鑑!!







    「ピヒャヒャヒャヒャ!」

    木の上で笑い転げるピカチュウ。

    「くっそー!」

    「サト君へたっぴ〜」

    「うるさい!!」

    「フン。ポケモン一匹だけのくせに…」

    「なんだとッ!」


    ぎゃーぎゃーワイワイ。


    「はぁッ…それより先へ進もう!」

    「ハァッハァッ…そうね」



    旅は長そうです...